2014年5月24日土曜日

ピンチには、おおきな飛躍が

 いい所へ行こうとしなければしぜんにいい所へぶつかるいい所へいこうとするからいい所へぶつからないんだろう(山下清)

 そっと書きます。5月も後半、いかがお過ごしですか? ここでもなかなか何も書けずに、書く気がしないまま、ズルズルきていました。『アフリカ』はどうした? ついに出なくなったか? いや、『アフリカ』が終わるわけがない、いまは編集者が忙しすぎて仕事が延びているだけだ。いや、あの編集者は逃げるのが得意だから。いや、彼は逃げた先でも『アフリカ』の編集だけはやる、変人だから大丈夫だ。なぁ〜んて声は聞こえてきておりませんけど、はい、やっております。「セッション」は、徐々にはじめておりますが、イヤに時間がかかっているところです。隔月刊行から離れて、季刊ですら危うくなってきましたが、原稿があるのに出してない、ということは誓ってありません。原稿も何も、ないんです(笑)。ないもんはない! というわけで(スミマセン)、まぁ〜危機といえば危機なのかな。でもこの程度の危機は、『アフリカ』には何度もあったわけで──一緒にはじめたメンバーがみんないなくなったりね──たいしたことじゃ〜ありません。自分も含め、「このタイミングで、何が読みたい?」をイロイロ話し合ったり、勝手に進めたりしながら準備してます。これまでと同じようでいて、じつはぜ〜んぜん違うような号になりますよ。皆さん、イロイロありますけど、日々なんとか過ごしながら、もうしばらくお待ちくださいネ。

 危機といえば、ぼくの生活は、ず〜っと危機ですねぇ。ほんと、冗談じゃなくて。最近、子が生まれて3人になりましたから、これまでにもまして生活が苦しくて、でも、なんとかかんとか暮らしながら、どうにか楽になれないか、と思うのですけど、やればやるほど苦しいという。でもまぁ苦しいのは苦しいでいいか、と。仲間から指摘されましたけど、悲壮感、まったくないよねぇって(笑)。だってね、あーた、この顔を見なさいって。


 もっとも、彼が生まれる前から、べつに悲壮感は漂っていませんでしたけど。彼が生まれて、ますます漂わなくなりました。まぁいいか、と。もちろんかわいいだけじゃない、じつに人間的です。おっぱい飲んで、ゲップして、ウンチして、寝て、起きて、…という生活。泣き、怒り、おっぱい飲んで、笑い、最近は声を出して何やらお父さんお母さんとお喋りもするようになりました。
 子育てについても、いろいろ勉強しながら、です。一般に言われていることを鵜呑みにはできない。いま、すごく危険です。個人で「考える」ということの必要性が、すごく大きくなってきてる。だから、すごく時間がかかります。でも「考える」ことを普段からしていると、生きるか死ぬかというときに、なんだか、役立つような気がしています。生命力になる。「考える」ことができていないと、無駄死にしてしまうような時代が、来るというか、もうね、とっくに来ているのかもしれません。

 いろいろ書きたいのですけど、『アフリカ』次号には、道草の家の、この『アフリカ』編集部に集まってきている空気ごと詰め込んで、つくりますので、またぜひお手にとって読んでください。

 そうそう、光海がぐずって眠れないときの、おおきな助っ人が現れました。この人。


 最近まで、すべては偶然だろうと思っていたのですが、偶然もずっとつづいていると、偶然じゃないですよね。大瀧(詠一)さんのラジオの録音を聴かせると、さっきまでの大泣きがウソのように、すやすや眠るんです。大瀧さんの(喋り)声には、どんなパワーが秘められているんだろう(笑)。とくに昨年夏、「アメリカン・ポップス伝」の最後になった「Part.4」の録音を聴かせると、よく眠ります。光海、好きなのかな〜。あ、それとも、あまりにも詰まらないから…。なんて冗談を言っていますけど、そんなことが理解できているとは思えないので(天才赤ちゃん?)、やっぱりあの声と、あの番組の空気感には、彼をホッとさせる何かがあるのでしょう。なので、最近は毎日のように聴いてます。あらためてすごい番組だなぁと思いながら。


 これはどちらかというと光海のお母さんが、最近眠るときに聴いているCD。もちろんぼくの持っていたものですけど。ジンバブウェの、ンビーラ(親指ピアノ)の名人が共演した1枚。ふたりとも、もう亡くなってしまったようですけど、音楽は遠い日本の、こんな家でも聴き継がれてます。

 いまは、ピンチというより、子が生まれて、新しい人生の展開を模索しながら、忙しいだけといえばだけですけど、『アフリカ』をはじめ、これまでのこともしっかり生かしていこうとぼくはしていて、「継続」という意味では、ピンチかもしれません。でも、これまでもピンチには、かならず何か新しいアイデアが生まれるか、誰かとの大きな出会いがあるか、とにかく何か大きな、ワクワクするような展開があり、乗り越えてきました。ぼく自身の仕事にかんしても、ピンチには、おおきな飛躍がある、楽しみだ、と言った人もいました。さ、どんな展開になりますか。楽しんでいきましょう。