2013年6月28日金曜日

滝と川と夜の虫たちと波の音に包まれて

 「道草のススメ」を止めてから、1週間がたちました。すごく残念、寂しい、と言ってくださる方がたくさんいらっしゃって、本当に、ありがとうございます。この数ヶ月、「道草」は毎日の更新なので書かなければ、と書くけれど、日々の仕事に追われて『アフリカ』にも満足に向かえない状態がつづいていて、そろそろ、かな? と思っていました。

 毎日更新を止めて、この1週間は、TwitterやFacebookでの発信も、ひとまず、沈黙に近い状態で、正直、あんまり見てもいない。というのも、やっぱり、最近、妙に忙しくて。それどころじゃない、と(ごめんね)。この数ヶ月は、「あれもできていない、これもできていない」「今日もできなかった、今日もできなかった」という流れになっていて、まずいなぁと思っていたのですが、今週は、「今日はここまでできた」と思って過ごせるようになってきた。やっぱり、このほうが気持ちいい。

 『アフリカ』第20号(2013年7月号)のセッションは、いま、徐々に熱くなってきているところで、ワクワクする。ひとつひとつの原稿にたいして、思いつくことを、いろいろメールで作者へ返す。それにたいして、反応が返ってくる。そのやり取りを通して、原稿が、思いもよらない変貌を遂げたりする瞬間もあって、編集者として、その瞬間ほどスリリングな体験はない。

 ぼくは「“いま、プライベート・プレスをつくる”ということ」を原稿化して、何とか、記事にしようとしている。イベントが1月末だったので、もう5ヶ月もたっている。このイベントは、上手くいった部分はすごく上手くいったけれど、上手くいかなかった部分はすごく上手くいかなかったので、なんとなく、気持ちが重かった。でも、テープを聞いてみたら、会場はとってもあたたかい雰囲気で、ぼくと当日のゲストの淘山さんだけじゃなくて、参加者の皆さんもよく話していて、すごく面白い。


 いま、道草の家では、夜、こういったCDを聴きながら眠る。パーカショニストで、自然音のフィールド録音で知られる中田悟さんの自然音シリーズ。この「鼓動の島、ハワイ」は、そのなかでもぼくが一番最初に買って、7年前、『アフリカ』創刊のころにずっと聴いていたもので、当時、ぼくは一番最初の勤めを辞めて、ちょっとしたひきこもりのような状態になっていた。ひとり暮らしの部屋のなかで、はじめていた『アフリカ』制作は、くるってしまった自分の調子を取り戻すための、リハビリのような活動だった。で、『アフリカ』の最初の号(2006年8月号)をつくりながらずっと聴いていた、この自然音のCDの音が、ぼくの耳を通して、その号に載っている「音のコレクション」という小説になった。失踪(?)してしまった男の友人の語りで綴られるフィクションで、夫婦、親子、友人、人と自然、人と仕事、といったことに、断片的に迫ろうとしている。「音のコレクション」をしていたのが、その失踪した男で。この小説でぼくは、はじめて「でっちあげる」わけでもなく「自分のことを書く」わけでもない、ほんとうの小説が書けた、と思ったのだった。でも、あんなのは、そうそう簡単には書けない。ですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿